慕情

marktheshadow2007-08-13

ガキの頃裕福でなかったからか、モノに対する思い入れが大きいようだ



いまももちろん裕福ではありませんがね(苦笑)



男の子は思春期になると行動範囲が広がる。それを助けてくれる存在であり、また思春期そのものの象徴がバイクであると思う。
私も高校生になるとすぐ、自身の若さを代弁してくれるであろうバイクのイメージを追って、単車に関する雑誌や本を読み漁ったものだ。
しかし残念ながらウチの両親からバイクの許可がもらえなかった。
免許やバイクのお金は私がなんとかするとしても、事故など起こされたら金銭的にも大問題となる....というのが両親の危惧が偽らざる理由であったのだと思う。

夜も昼もなくのめり込んでいた「バイク熱症候群」がパタリと止んだ。



それからはバイクを見ても見ないフリをしてきたのではないかと思う。


年月が過ぎ30代のはじめ、まだ心の奥底でオキ火のようにくすぶり燃え続けていたのだろうか、バイクに対する興味がまた燃え始めた。
ある雑誌の1頁に真新しいアメリカンタイプのバイクが紹介されていた。
250ccという扱いやすい中型ながら、堂々としたシルエットに頭をガツンの殴られた様な気がした。

「こんなのに乗れたら楽しいだろうなぁ...」

2年後通勤のためにその単車に乗るとは、その時思いもしなかったのだが。

そして、初恋のバイクを新車で契約時。その時、ナゼか違うバイクのパンフを持ち帰った。


その後香港行きが決まり、初恋のバイクを手放した。
約10年の香港の田舎暮らしでバイクはなくてはならない存在となり2台目を入手。そして日本に戻るや否や3台目のバイクに世話になった。


そして、今日からまた違う「新しい中古バイク」との生活が始まった。


このきっかけもおかしなもの。
日本に帰ってからバイク雑誌で物色していた処、珍しいバイク=パシフィックコースト=旧車の紹介がされていた。その後もナゼか何度も何度も読み返すほど、私の興味をワシ掴みにした。それと何か妙な、懐かしさを感じたのだ。


私の部屋は香港に行く前=約10年前の状況が保たれており、その頃の雑誌も保存されていたことを思い出し、そのバイクを調べてみた。


私の大好きな映画「ハーレーダビッドソン & マルボロマン」のドン・ジョンソンの元彼女が駆る白バイに使われていたことを思い出す。
ハーレーは大好きなバイクだが、「こういうバイクも有りだよなぁ、でも高いだろうなぁ」なんて思いながらビデオを見ていた。




雑誌の間から、薄っぺらなパンフが出てきた。初恋のバイクの契約時に持ち帰ったパンフ。なんとそのパンフがパシフィックコーストのものであった。



なんたる偶然の積み重ね。そう思った私は再度入手することに決めた。


実は、香港から帰ってきてすぐ、このパシフィックコーストを求めて毎週末バイク屋を回ったのだが、値段が高い割りに見た目が悪い=値段負けしている廃車寸前のものにしか出会えなかった。
もう年式的にもまともなものに出会える可能性はないのだろうと半ば諦めてもいたのだ。

そこでネットで探してみることにした。しかし日本全国で6台しかヒットしない。実際には中古車としては数十台近くあると思われるが... 
日本ではほとんど売れなかったアメリカ輸出専用車。そ日本で売られていたのはシルバーと黒。ネットの中もほとんどその2色なのだけれども、白を一台発見。アメリカからの逆輸入車。20年前のバイク。


気がついたらバイクショップとメールの日々。そして届いた。
さすがに近づいて見ると細かい傷やヒビがあちこちにあるものの、20年落ちとは思えない美車。エンジンも生きており、アクセル一発でロケットダッシュもやってのける。
しかし、基本的に飛ばすバイクではない。むしろフルカウリング(車体全体がカバーされている)でガタイの大きなバイクのためすり抜け等も控えてしまう、「オジサン走り」が必要なバイク。

流行のビックスクーターもビックリするほど大きなトランクを持ち、ちょっとした買い物も悠々こなす。奥さん孝行なバイク。(苦笑)

しかも、販売の中心がアメリカ市場で、現在ではヨーロッパにまでマニアが多く存在するため、部品=とくに輸出仕様の在庫欠品がほとんど無いという。ショップの方がメーカーに聞いた話では「本来20年落ちのバイクのパーツは欠品するのが当たり前。しかし海外の販売台数の維持=アフターサービスも品質の一部のため、輸出専用車の場合パーツ欠品が出せない。いまだにパーツの追加生産をしている」とのこと。


バイク生活4台目にして、ようやく自身のライフスタイルにマッチしたバイクが入手できた様に思う。

後、10年は乗りたいものだ。
その間宜しく頼むぜ、相棒。