五感の原体験

30年年近く前...はじめてアメリカ西海岸を旅した時、目に飛び込む全ての景色に感動した。
いや景色だけでなく、肌にさす太陽・サラッと乾燥した風・日本にはない植物の香り....



その土地にいるだけで感動した。



場所はロングビーチ
ロサンゼルスから少し南下した郊外である。


宿はなぜか短大の女子寮。(笑)


貧乏大学生の行くあて知れずの海外旅行のため、宿賃などの旅費をできるだけ切り詰めたい。そういう思いから語学留学していた友達を頼っての居候生活。
その頃、日本人の短期語学留学が流行りだした頃で、現地の対応が間に合わない。留学先の語学大学の関係で短大女子寮の一角を日本人用に貸し出してくれることになった。二人で一部屋なのだが、友達と同部屋だった学生はすでにギブアップして帰国したという。
ベッドが一つ空いているおり、更に寮のガードマンは個々の日本人を識別できない...なんていう理由から、ちゃっかり入り込ませてもらった次第。


なんて言っても女子寮ですからねぇ〜
断ることが有ろうはずもない!!(苦笑)


食堂も女子と同じ。
日本人と違ってアメリカ人は積極的ですから、どんどん話かけてくる。進学するための英語は勉強していないものの、外人と話しして鍛えた会話能力がこんな場面で役に立つ。
「なんでそんなに英語喋られるの?」なんてビックリ半分、お上手半分てな感じで。


有頂天になりながらも、その場の空気の違いに気づいた。
乾燥してはいるのに優しい空気...とでも言えばいいのだろうか。そこに漂うコーヒーの香りやチェリーパイの香ばしい匂い。英語で発せられる歓声や会話、それにつづく笑い声。


日本でない空間がそこにあった。


日が沈むと、黄色い灯りがポツン、ポツンと灯る。
蛍光灯の様な人工的なものを感じさせるものではなく、白色等のポツンと感じる灯りばかり。


アメリカの夜は黄色いのだ。


と感じた。
そしてまたコーヒー片手に語り合う。
TVなど見ずに、夜長を楽しむ。
日本と違う、価値のある長い夜。


そんなことを感じられた初アメリカ。


いまでも春先の天気の日に、アメリカの空気を感じるときがある。もちろんそれを感じるのは日本でだったり、香港であったりするのだが、私にとってはそれが原体験のアメリカのすがすがしさを呼び起こしてくれるのだ。


アメリカだけではない。
香港での想い出も日本で感じることがある。
独りの夜、犬と散歩したまばゆい街路。
スコールの後に輝く太陽。



そんな時、幸せだと感じる。
何年たっても、想い出を感じれることに幸せを感じる。




貴方はどんな原体験をお持ちですか?


オチはねぇぞ、今日...(苦笑)