艶っぽい人

東京で仕事をしていた頃、Oさんという男性に出会った....
というより大変世話になった。その頃、ある会社で上場の担当をしていた私は、その最後の関門になっていた子会社を立て直しに出向していたのだ。
その子会社の商品は性格・能力測定テスト事業。しかも世間一般的なテストではなく、指先の電気抵抗値だけで性格判断ができる...といえばスゴイし、下手な見方すると「奇術かい?」みたいなとらわれ方もする事業としてはなかなか手ごわいしろものなのだ。

このテストを「ふぅ〜ん、面白いじゃん、使おう」と一発で発注をもらい、お陰で子会社の期間黒字まで出すことができたというのですから、Oさんには逆らえない。

強持てのするトラさんみたいな風貌のOさん。(神様、Oさんがこのブログ見てませんように...(笑))
機嫌の悪い時は近くにいるだけで、こちらまでピリピリする。からといって怒鳴り散らすようなことはしないのだが。。。逆にご機嫌なときはオカマ言葉もたまに入ってまわりを沸かすエンターテイナーでもある。

元々このOさん、「人間ドック」をビジネス化した人物でもあり、感覚が非常にするどく切り口が面白い。
[まぁ、そういう人でないと、あのテストを一発で気に入る様なことはないだろうが]


このOさん無類の酒好き。
機嫌の悪い時でも呑み出せば、いつしか場を盛り上げてしまっている。
で、最近自分が起こしたムチャを披露する訳だ。
いわく「同乗していた社用車が駐禁でレッカー」されそうになるのを、口八丁手八丁で...みたいな話のオンパレードになるのだ。(ブログには書けない話がほとんどで紹介できないのが残念だが...(笑))

そんな話を聞かせていただく度に、「なんとこの人は機転と博識とネットワークと)を上手く使う人なのだ」と関心させられることになる。
手っ取りばやくいえば「悪知恵」ともいえるか?(笑)


同時にこの人の悪知恵はどうやって培われたのかと疑問に思ったものだ。


ある夜一緒に呑んでいるときにその原点の一部が見えた。



「子供の時、どんな遊びをしていたか」という話題に、Oさんの答えは「駄菓子屋つぶし」と答えた。
実際に駄菓子屋をつぶすわけではないのだが、話の内容はこうだ。


小学校中〜高学年にかけて、友達とお小遣いを出し合って....(小遣いなければ○○して捻出するという怖い話まで聞いたが(笑))、大阪の駄菓子問屋に行っては最新版の「当てモノ駄菓子」を購入してくる。
いわゆる「くじもの」である。その頃の当てものくじは、一枚の紙に当りはずれなどが印刷され、その面を隠すようにもう一枚の紙が貼り付けられている。紙の表面にはミシン目が入っており、駄菓子屋でそれを小さな一つ一つのくじに切り分けていくわけだ。
悪がき友達が集合して、購入してきたくじの微妙な印刷キズやミシン目のズレをチェックする。「どのくじに1等・2等があるのか」傾向を分析し、実際駄菓子屋で誰がどういう順番で当てていくか作戦を練る。こういう作業だけで3日は掛かったそうだ。(笑)


そして作戦決行。



A:「あっ、おばちゃん、当ったぁ〜!! なんや4等かいなぁ〜」
B:「あっ、僕も当ったぁ〜、5等かぁ...」
駄菓子屋のおばちゃん:「当ったんやから、もう一回引けるでぇ」
A・B:「えっ、ホンマァ〜!!」

という具合に、上位の当りを引き去っていくわけである。



そして駄菓子屋に残るは「はずればかりになった最新の当てモノ」が残るのだ。



しかし、こうした悪事も毎回続けては出入り禁止になる。
駄菓子屋のばあちゃんを生かさず殺さず....見計らいながら活動する周到さも持ち合わせていたそうだ。



悪どい....実に悪どい、しかし笑ってしまう話である。(苦笑)