気持ちと言葉のタイミング

愛すべき呼称が凶器にもなる?


差別用語って変だと思いませんか?
一部は間違いなく「差別的感情」を元に作成された造意語や新語であるようだけれど、ほとんどの言葉は元々「通常の言葉」だったものと思うのです。
例えば「チビ」。

奥さんA;「あ〜らBさんちの奥様ぁ〜」
奥さんB;「こんにちはぁ〜Aさん。あら坊やもご一緒なのね。この間の運動会活躍してたわねぇ〜」
A;「チビなもんで惜しいところで負けちゃうのよネェ〜」

なんて使い方しますよね。こういう愛称としての「チビ」もあったりする訳ですから、通常の言葉です。ところが場が一転してケンカの場面では...

A;「悔しかったら、かかってこんかい!!」
B;「ぬかしたなぁ、このドチビがぁ〜!!」

一気に差別用語になってしまう訳でして。
大辞泉で調べてみましたら「小さいもの。からだの小さい人。また、年の幼い人や子供を親しみをこめていう語。」という愛称と説明がされています。
考えてみますとこういう「普通の言葉」が「差別用語」になってしまう例は数限りなくありますよねぇ。
チビ・ノッポ・デブ、ハゲ、短足胴長、馬面・団子鼻・獅子鼻・タレ目・ツリ目・大口・メガネ....って最後のメガネなんて全然差別にもならないことなのに、差別用語化しちゃう時がありますよね。
全体的に見て見ると「先天的」な見かけ上の問題が原因となることが多いですな。
ならば成形美容が常識化してきている韓国なら、こういう差別用語はほとんどないんでしょうねぇ。

A;「文句あるんやったらかかってこんかい!!」
B;「ぬかしたなぁ〜、成形手術出来へん貧乏人がぁ〜!!」

ということで、お金がないことが差別になったりして...(笑)

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当事者同士(または、相手だけ)の思い違いが差別用語になってしまうケースって怖いものです。言葉がどんどんバイアスかかって違う意味合いを持たされてしまう。

最近の「気しょい」という言葉も困ったもの。
何がどう他人と比較して変なのか説明もせずに、単に気色悪い....ってどうなんでしょう。明らかに他人と異なっている部分を私的するならいざ知らず、「理由も説明できないほど変」って言い切ってしまうのですから。
残酷なものです。

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香港で、いや海外でよく聞く言葉があります。
「だから日本人同士でつるみたくないのよね....」
これって、日本人同士だから日本語を媒介にして、ある人の話がどんどん加工されて無責任な噂の流布に変わっていく。
勢いで色んな差別的表現言葉が展開されていく。
よくよく考えると日本人だけでなく、アメリカ人同士でも香港人同士でも中国人同士でも同じ様な噂の流布はあるはず。
ただ単に我々日本人は日本語ほど第二(or三以降)外国語が流暢でない部分聞けていないだけの様な気もするので、「日本人は...」というくくり方はクエッションマークを感じます。
狭い日本人社会といいますが、それだけ普段色々とプレッシャーを受けて生活し、無意識のうちに腹いせの様に他人の攻撃をしてしまっているのかとも....

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私がこういう噂話を耳にした時の反応は、①自分で確認できていないことは「へぇ〜そうなの」と聞き流す②どうしてもその話題が終わらない場合は、突拍子もない笑話に変化させて、その本人の話から遠ざけようとする、という感じでしょうかね。

その場にいるのが、なんだか辛いんですよね。

ん〜でも、私も知らぬ間に攻撃しちゃっているのでしょうか...難しいですね。

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また、勘違いで相手の言動が自分を非難しているように聞こえて仕方無い時ってありますよね。

香港でも「あいつはヤップンヤン(日本人)だから..」なんていうことを地元の人々がコソコソ話しているのを聞きます。古くは第二次大戦の大日本帝国時代のことを揶揄しているのか、はたまた昨今の「何でも金で解決しようとするするイヤな国民」とイメージされているのか、「酔っ払い=日本人」といわれているのか...真偽の程は確かではありませんが、差別的な言葉を使われていることが確実な時があります。
差別=本人の責任もあり、身がすくむ思いがします。

私の勘違いならいいのですがね。

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話はがラリと変わって....

昔高校生の就職相談のボランティア活動をしていたときに教えた裏ワザがあります。その名もずばり「差別用語攻撃」。
もちろん、試験官に差別用語で非難することではないですよ(笑)
現在の日本(海外も)では、親族のこと、宗教のこと、男女差別になること....などを聞いてはならないという法律があります。
これを逆手にとって話法を展開するっていう奴です。
高校生で就職がうまく行かない子ほど「何かのトラウマ」を持っていて、それが表情の暗さや、会話力を阻害しているケースがあります。

そういう子達に私はこういうのです。
「私の場合、親父が呑んだくれでいつも貧乏だった。子供の頃から親父に代わって家業を体の弱い母と一緒にやってきました。雨の日も雪の日も、猛暑の夏も台車に商品を載せて一人で配達して回ったものです。そのお陰で商売に関する知恵や体力では他の人に負けません!!」

自身をもって、逆境だった過去をステップボードにして今から飛ぼうとしていることをアピールさせるわけです。自身から差別につながるような内容を話す訳ですから、試験官からすると待ってましたとばかりに、本人像が理解し易くなる。質問も、し易くなりますよね。例えば「ウチは寮に入ってもらわないといけないけれど、お母さん一人っきりにさせて大丈夫?」なんて具合に。

これで就職成功した高校生のその後を追いかけてみたところ....皆さん性格が明るくなっていたのです。「差別」も自分の魅力に変えて。

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隠すと本人の心の中でトラウマとなり、言葉によっては琴線をかき乱す。
知らぬ間の差別になったりする訳です。
隠さずに表に出してしまえば、魅力や人間としての大きさにもなる。

色んなパターンの差別が存在する訳ですが、「気持ちと言葉のタイミング」みたいな部分があって難しいですよね。


いずれにせよ、優しい気持ちでいたいものです。



えっ、今日のオチはないのかいって?
「さ〜べつ」にぃ〜?!
(オヤジ化してしまった.......(苦笑))