宇宙船 U.S.S. HK号 序章

恒星日誌、宇宙歴060118 二週間後に本艦はオーバーホールに入る予定
 

全長90m・最大船幅55mの小型の外宙艦...ちょっと大きな星間タグボート然とした外観とは裏腹に、この船の艦内には最新のテクノロジーが導入されている。
総搭乗員数70名。
スペシャリストの集団であり、外宇宙において必要な物資の生産もできる設備が導入されている。

初搭乗時代は副長として...そう往年の地球の人気ドラマ「スタートレック」のMr.スポックの様に、他の搭乗員と異なる容姿からか浮き上がっていたものだ。
しかし、前艦長が異動になってから、私が実質的な艦長業務を行っている。

この船の特定した任務はない。ずっと宇宙空間を突き進み、その時代に応じたニーズを汲み取り生産をする。それをし続ける...それが任務である。昨日・今日・明日に余り大きな変化はない。

しかし、毎日何艘もの小型タグボートが宙間艀を引っ張って資材を運んでくる。たまに大型タグボートが生産品を引き取りにやってくる。
宇宙に朝と夜の区別はない。だが何故かある一定時間に彼らは押し寄せてくる。小型の外宙艦のためドッキングベイも二つしかない。
それがある時間帯に戦場の様相を呈するのだ。
大抵こうしたタグボートの乗り組み員は「ラー族」と呼ばれる宇宙人である。肌は我々と似ているものの、ところどころ「入れ墨」の様な極彩色のアザがあるのだ。発音と見た目から私は「裸族」と心の中で呼んでいる。

残念ながら、この艦には食事を作る機能がない。食事の時間毎に一番小さなクラスの宇宙ボートがやってきては、宇宙食を供給してくれる。
しかし、この宇宙食が...問題なのである。
この宙域に住む「ラー族」御用達の食物工場から配送されるため、我々用のレシピになっていないのだ。ラー族の主食は「油」である。他の食材料は概ね我々と同一であり、食べることもできるのだが、この油が問題である。無意識に食べてしまうと、我々であってもいつしかラー族に変化してしまう可能性がある。事実、私の体臭もこの数年でラー族に近づいてしまった感がある。
この宇宙食だけは何年この艦に搭乗していても、改善されない頭痛の種である。

こんな宇宙食環境だが、週に一度程度は宙間バスに飛び乗り、「まともな食事を摂取する」贅沢な一瞬がある。この時だけは人間に戻れる。

しかし、二週間後に近づいた本艦のオーバーホール。その間われわれにも体のオーバーホールのための「休暇」が与えられるのだ。たった6日間だけ、しかも2日ほどは艦内に留まらねばならないのだが...しかし何よりの楽しみである。
普段の宇宙食に対するストレスを一気に忘れることができるのだから。

「宇宙を航海する」というと、地球という星の上にしがみついている人々からは羨望の目で見られるが、案外ストレス一杯の日々を過ごしているのである。

宇宙歴060118 艦長代行 mark記述

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前々から、私が働いている工場は近くの町からも隔離されていて、常時「ゴウ〜ン」「ゴウ〜ン」と響く音からも、『宇宙船みたい?!』と思っていたのです。
宇宙船HK号っていう感じで、しばらく書いてみましょうかね??

これは、コメント入れにくいよなぁ〜(苦笑)
まぁ、お気楽に突っ込みいれてね!!

[しかし、この話にオチとかつけられるんでしょうか?? 不安(笑)]